編集後記

新船海三郎

しんふね かいさぶろう | 



▼この欄を書くとき、いつも、何から書こうかと悩む。話題がないからではない。ありすぎて、しかも同じようなことがくり返されるからだ。たとえば、言葉。就任したばかりの小泉進次郎環境大臣の国連温暖化サミットでの発言。「若い人を動かすには問題をファン(楽しく)でクール、あるいはセクシーなものにしなければならない」。これ、地球温暖化を止めようと世界の高校生たちに呼びかけた、スウェーデンの女子高校生グレタ・トゥーンベリさんの前でもいえるのか。小泉発言のあった翌日、彼女は「あなた方は、私の夢や私の子供時代を、空っぽな言葉で奪った」、「私たちはあなた方を見ている」と、早急に対策を講じるよう各国首脳に求めた。今、地球温暖化に懸命に抗っているのは若ものたちだ。セクシーとは無縁なところで懸命である。「何もしない大人たち」に似合いの言葉を、若ものたちにいう新大臣の「空っぽ」さ。

▼しかしこれ、新大臣だけの話じゃない。グレタさんは、スウェーデンの総選挙に合わせて、政府がパリ協定を遵守して二酸化炭素排出量を削減することを要求し、学校に行かずに立法院前で「気候変動問題のための学校ストライキ」のプラカードを掲げた。選挙後も毎週金曜日、立法院前に立った。これにスウェーデン国内はもとより世界中の高校生たちが呼応した。反応が鈍かった日本でも少しずつ動き出した。ある大学で、金曜日に二週つづけて授業を欠席するのを心苦しく思った学生が、教授にわけを話して理解を求めた。昔なら勝手にやるところだが、現代の学生は心やさしい。ところが、いわれた教授、「何? それ」だと。もちろん、こんな教授ばかりではないが、この学生と教員のいかんともしがたいズレに、小生の心は何とも寒い。台風15号による千葉県の大停電は、これを書いている月末に至ってもまだ残る。国県の杜撰な対応もあってまれにみる被害。地球温暖化は、経験値では計れない大規模災害をもたらすまでになっている。セクシーでも、「何?それ」でも、「30年後の自分は何歳かな」でもないのだ。

▼関西電力の会長や社長らが福井県高浜町の元助役から、3億円強の金品を受けとっていたと報じられた。元助役は、関電の原発関連工事を請け負う建設会社から工事受注の手数料として約3億円を受領し、それを関電の原子力部門の幹部に渡していたという。関電幹部は、自社の金の還流と知りつつ「一時保管」と貰いつづけ、元助役の注文を聞いていたか。浅ましいというかおぞましいというか。記者会見で金品は何かと問われた社長は、自分で記者会見を開いておいて、〝答弁を差し控える〟だと。いやはやだが、中身は承知らしい。それにしても原発にまつわる黒いカネ。かつての環境大臣も、原発事故の汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設をめぐって、「最後は金目でしょ」なんていってたナ。何でもカネで片をつけたい連中の考えそう、やりそうなことだ。「一時保管」? 〝何? それ〟。

▼消費税増税である。本誌は、1000円の税込価格を据え置き、本体価格を下げるとともに減ページで対応することにした。きびしいが乗り切っていきたい。従来に増してのご支援、ご鞭撻を心よりお願いする。望田幸男さんの短期連載終了、感謝。

(新船)

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